<紗や工房 アトリエ訪問>
憧れの作家様のアトリエに訪問します!
製作現場にお邪魔して、実際に見て触れさせていただくことで、素敵な作品が生み出される秘密を探ります!
色鮮やかでメルヘンなポストカード。おとぎ話の世界に飛び込んだ気分。
目次
「仕事になるかは後回し、とにかく人に見せるのが大事」
第一回では、ハンドメイドを始めたきっかけや、子どもの頃の思い出などを話していただきました。
第二回は、「クリエイターへの転機」や「人との出会い」について。
さらにアトリエ訪問特典として
TOMYさんオリジナルの「アンティーク技法」をこっそり教えていただいちゃいました!
引き出しの中には、アクアセサリー用の小さなデザインがかくれんぼ。
<アトリエの住人- TOMY>
横浜市在住。童画家+雑貨作家【Tomy】
自宅アトリエを拠点に自らの童画、Vintageやレトロな生地でリメイク、オリジナル雑貨の製作販売、ワークショップの運営。また、作家グループ【たまてばこ】を主宰。Handmade作家の紹介、イベント参加、企画運営をしています。
わたしのお気に入りの作品。キャンパスにアクリル絵の具とペンで描いています。
クリエイターへの転機
―「一生やり続けていたいこと」ではなく「一生やり続けられること」を考えたとき、それが「絵を描くこと」だったんだよね。
正社員として花屋さんで働いていたTOMYさん。
24歳の時に転機が訪れます。
TOMYさん:
「花に関する仕事も好きだったけど、ふと「一生これをやるのかな?」って考えたんだよね。
花屋さんは、朝の3,4時には起きて市場へ行かないといけないし、水仕事だし…」って。
辛いことしか頭に浮かばなかったんです。
その時に「あぁ、やっぱ違うんだな~」って。
それで「一生やり続けたいことってなんだろう」ではなくて「やり続けられることってなんだろう」って考えたんです。
歯磨きや洗濯、ご飯作って、お風呂入って・・
みたいな日常に取り込まれていて
無意識にやっていること・・・それが絵を描くことだったんだよね。」
会社員から、いっきにクリエイターへとシフトチェンジしたTOMYさん。
その決断は、決して簡単なものではなかったと思います。
ですが、笑いながらそのあとに続いた言葉を聞いて
TOMYさんにとってむしろ「描き続けること」が「生きること」の選択なのではないか
と、大げさですがそんな風にも感じました。
TOMYさん:
「絵なら描き続けていられるから
80,90歳まで描き続けてたら、何かにはなれるかも!って思って(笑)」
オーダーを受けて製作された結婚式のウェルカムボード。新郎新婦のお二人が新婚旅行の時に訪れたお城や結婚式の日時などをモチーフにしています。
人との出会い
―「仕事になるかどうかは後回し。とにかく人に見せる、人に話す。」
もともと絵を描くことは好きだったけど、学校などで勉強はしていないTOMYさん。
初めは、絵がお仕事になるとは考えていなかったそうです。
TOMYさん:
「美大も専門も行ってないから、少し勉強したいと思い、ギャラリーや額装会社でアルバイトしながら勉強をしました。とにかく人に見せてみようと思って、初めて友人に見せたら「欲しい!売って!」と言ってくれたんです。
それをきっかけに本格的に「絵に関する仕事をしよう」と決心できました。
ある時アルバイトを通して、阪急のモザイクモールにあるカートショップ(ワゴン販売)を運営している会社の方と出会ったんですね。
その方が私の絵を気に入ってくれて、「そこで売ってみたら?」とお誘いをいただきました。
それでその場で絵を販売するようになって、興味を持って足を止めてくれる方と直接話したり、後につながる出会いもありました。」
何をするにもまず一歩。
やり続けられることが見つかったら、あれこれ考えずに人に見せる!
TOMYさん流一前進術です。
出産祝いで製作したもの。両親と赤ちゃんの干支、生まれた日時、体重などが絵に表現されてます。
まさかの!貴重な失敗体験を経て。。。
―原画を200円で販売してしまっていた!
TOMYさん:
「最初は何も知らな過ぎて原画をそのまま200円、300円くらいで販売してしまっていたんです!
今思えば、原画を売ってしまうなんて考えられないですよね(笑)
普通は、原画をもとにして印刷して販売するんですもん。でもそんなことも知らないくらいだったんです。
ある時、絵を見てくれた方に「原画は売っちゃダメよ!保管しておかなきゃ!」とアドバイスをもらって。
その方が、家庭用プリンターでしたが、絵をスキャンして多少ほこりや光ムラなどを補正して印刷してくれるようになったんです。」
そんなTOMYさんですが次のイベントでは、あえて原画を出品するそう。
そこにはどんな理由があるのでしょうか。
TOMYさん:
「原画を販売することについては、かなり難しい決断でした。
でも中には、原画を適正な価格で販売している作家の方もいて・・・とても考えるきっかけになりました。
ずーっとアクセサリーや小物ばっかり作っていたけど、「アクセサリーを持つ感覚で絵を持つ」のも素敵なんじゃないかな?って。
親子や、一人暮らしの女性がちょこっと部屋に飾りたくなるような、そんな絵を販売できたらいいな~って思っています。」
アクセサリー感覚で気軽に持てる世界に一つだけの絵・・・いいですね!
一日よく働いてお部屋に帰って、自分だけの絵を眺めながらチューハイを一杯(笑)
うん、新しい贅沢な気がします。
アーティストのSPITZが好きなTOMYさん。SPITZの『小さな生き物』と云う曲をかけながらイメージして描いた一枚。紫のお花のモチーフは、アリウムギガンジュ-厶という花です。真ん丸なので、月と勘違いした虫が必死に茎を昇っています。
お花畑の中にいるブタのお姫様が絵本の中の1ページになるかもしれないと思いながら描いたそうです。
アトリエ訪問特典!TOMYさんのアンティーク技法公開
TOMYさんオリジナルの「アンティーク技法」をアトリエ訪問だけにこっそり教えていただいちゃいました!
先にご紹介したこちらの作品。
オーダーを受けて製作された結婚式のウェルカムボード。
新郎新婦のお二人が新婚旅行の時に訪れたお城や結婚式の日時などをモチーフにしています。
この絵は、TOMYさん自身も手放したくなかったくらいの自信作だったと振り返っていました。
手前に印象的なモチーフがあるにもかかわらず、絵の中でお城が浮き上がっているような存在感があるんです。
そして悠久の時を経たかのような、アンティーク感の演出も見事です。
今回は、このアンティーク感を表現する技法を大公開!
① まずお城のデッサンをします。
このお城は、ドイツの古城の写真をもとにデッサンしました。
*写真を使いたければ、デッサンをしなくてOK
② 別の画用紙に、背景を3割ほど描き込み全体の着色をします。
この絵は、水彩絵の具と色鉛筆を使っています。
③ ①で描いたお城のデッサンを家庭用プリンターで印刷します。
このとき光沢紙を使用。
④ 印刷したお城の絵に転写液(デコパッチやデコパージュに使うような)を塗って
背景を描いた②の画用紙に転写します。
⑤ お城と背景の境目をぼかすような感じで着色します。
そのほかのモチーフを描き込んで出来上がり。
お城の絵を転写することで、独特のアンティーク感や奥行が演出できるんですね!
みなさんもぜひぜひ試してみてくださいね。
次回・・・
絵やイラストだけでは留まらないTOMYさん。
ファッションや小物のリメイクでも才能を発揮。
リセッショニスタとしてNHK番組にも出演。
■ vol.3 “TOMY”としての開業、自宅アトリエを構えるまで~現在のお話しを伺います!
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